記憶の表象

イラストレーションブログ 記憶の中の何かを形にしていく作業

いわゆる一つのロス・シンドローム?

 ハードディスクが寿命を迎えた。メインマシンのデータ保存用に使っていた内蔵ドライブが全く読み込めなくなってしまった。仕事用のファイルはバックアップを取っていたのでほぼ問題無いとは言え、最近の日記画像やデジタルカメラで撮った画像が飛んでしまった。  何が悔しいって、不具合の前兆をはっきりと認識していたのに具体的な対策を取っていなかった事が悔しくてならない。数ヶ月前に急に鳴り出したおかしな音。すぐに鳴り止んだので記憶の端からこぼれ落ちてしまったのだ。そして数日前からのおかしなエラー。エラーが出た頃にはもう末期だったのだろうが、少しぐらいは何かできたのではないかとペットの最後を見送る飼い主のような気持ちに陥る。  いやいや、私は自分のパソコンを擬人化したり名前で呼んだりなんて事はした事がないから、HDDロス症候群みたいな考え方は間違っている。ただ単に「正確に症状を受け取っていながら特別な処置をしなかった」事に対しての悔恨の気持ちが頭の上に渦巻いているだけなのだ。  そんな事を言いながらも調子の悪くなったパソコンを煙を上げるロボットとしてイラスト化してしまうんだから始末に負えない。 20140225

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レモンのコート

20140210 四十数年ぶりの豪雪が日本列島を襲う中、我が家のベランダでは植物たちの越冬問題が浮上していた。例年並みの寒さなら特に何をする事もなく終わるのだが、今年の寒さはちょっとばかり尋常ではない。  シダ類とクワズイモ、ミニバラは早めに大きな段ボールをくりぬいて即席温室にして覆った。特に寒さに弱い観葉植物は部屋の中に移動させた。残るはレモンの木。親木と苗木を一緒くたに新聞紙で巻いていたのだが、それでは苗木に日光が当たらない。外に出したら出したで低温にやられそう。考えあぐねて鉢一つだけ新聞紙を筒状にして巻き、透明なビニールをかぶせて小さな小さな温室を作り上げた。  ホームセンターに行くと庭の植木用に簡易温室が売られている。安いのから高いのまでピンキリ、機能もそれなりに。鉢一つ分のビニールも売っている。そんな情報は頭に入っているのだが、いざとなると自作で何とかなってしまう物なのだ。何しろ真冬の数ヶ月の間だけ持てばいいのだから。  今日も小さなレモンの苗木は暖かそうに空を見上げている。

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20140124 我が家にやってきた小さな車、まだまだ近所の買い出しくらいにしか使っていないが、それでも着々と走行距離を伸ばしはじめている。走行距離が伸びるに連れてわかってくるのはその車特有の癖。今回の車はオートマチックモードとマニュアルモードが選べるのだが、オートマモードがちょっと癖がある。  元々シフトアップのタイミングでアクセルの反応がちょっと鈍いのだが、それに加えて踏み込みが甘いとシフトアップがやたらと早い。省エネモードで走っているらしく、しっかりと踏み込めば高回転で繋がっていくのだが、シフトアップする度にカックンカックン初心者の運転のような挙動になる。  マニュアルモードで運転すれば気持ち良く走る事が出来るのだが、説明書に省エネルギーのために最適な回転数で云々と書かれてしまっては無下に出来ない。ハイオクの値段も一時期より随分高くなったみたいだし、慣れるまではオートマチックモードで我慢するしかないのだろうな。

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春待ち

20140113 早朝、氷点下を記録する日々が続いている。夏の間ベランダでのびのびと日光浴させていた観葉植物は、全て怪獣どもの手の届かない仕事部屋に移した。  仕事部屋はあえて陽の当たらない北側にしている。絵やモニターにとって直射日光は大敵だ。ところが観葉植物たちにとってはちょっと物足りないらしい。少しばかり調子を崩して葉を落としはじめた。  調子が悪いと言っても大して心配はしていない。夜の間気温も低くなりすぎない室内、暖房も効いている。しばらくすれば環境に適応して新芽を伸ばしはじめるだろう。  だいたいうちに来る観葉植物はそんな風に強いヤツばかりなのだが、唯一の例外が多肉植物。私と多肉植物はどうも相性が悪いらしい。昨年IKEAで安く買ってきた多肉植物が早くも枯れかけているのは、たぶん春までもたないかもしれない。

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お節だけで

20140107 今日は七草粥、お正月の間に飲んだり食べたり疲れた胃をいたわる日。とは言え今年はそれほど暴飲暴食をしていない。旬の楽しみと言う所か。  何度もブログのネタにしていると思うのだが、我が家のお節は三が日いっぱいまでもたない。作る量を調節している事もあるのだが、何より美味しいので三食ちびちび食べているうちにあっという間になくなってしまう。  別に手前味噌というわけではない。関東風のやたらと酸っぱいなますに慣れた舌には、関西のほんのり甘い酢を使っているだけでも食べやすい。そして何より鰹ダシをしっかり利かせているから煮しめも美味い。関東風のお節は元旦の朝だけで飽きてしまうのに関西風味はカレーの入り込む余地もない程。そして我が家の変わり種、ゆり根のバター炒めと黒豆のマスカルポーネ添え。日本酒にもワインにも合うから酒の肴としてももってこい。あっという間になくなってしまうのだ。  今年は好物の二色卵を自作して、思い返してみれば結構飲んだり食べたりしているような気がしてきた。やはり今日あたりは粥と休肝日で丁度良かったのかもしれない。

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燃える稜線

20140106  山が近いと毎日のちょっとした天候や気温、太陽光線の変化で景色ががらりと変わる。平野の向こうの方に海や山が見えている土地や、高いビルに視界を閉ざされた街ではこれほどダイナミックな変化を見る事が出来ない。視線を上げて景色を眺めるのがこれほど楽しい日々は、今まで無かったと思う。  最近のお気に入りは晴れた日の夕暮れ。西の山向こうに太陽が沈んでいくと、稜線の向こう側に沸き立つ雲が太陽に照らされて、金色に波打って見える。夕焼けに染まる時刻になると、まるで山が真っ赤に燃え上がっているように見えるのだ。  空が澄み冷たい空気と暖かい空気がぶつかる冬だからこそ見える景色は、夏の入道雲ばかり追いかけている心に新鮮な風を吹き込んでくれた。

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新しい車

20140104 もう去年の暮れになるが、我が家に新しい車がやってきた。小さいながらも最新型の輸入車。東京に越した時に前の車は手放してしまったが、地下鉄もバスも網の目のように路線が入り組み数分おきにやってくる都会と違って、現在の住まいでは車は必需品。小さいながらも百人力、と言うよりは我が家のマイカー系譜的には順当な選択といえる。  前回がいわゆるエンスーだったために当然といえるのだが、最新式の装備には目を見張る物がある。細かく位置を調整できる暖房熱線入りシートにセミマニュアル/オートが選べるシフト、バックすると「オーライ」の変わりにピーピー鳴り響く障害物センサーに、リモコンドアロックは解除するたびに「お帰り!」と喋りかけてくるようで楽しい。レバーの先の小さなボタンを押すと計器パネルの表示が様々に入れ替わるのは、はっきり言ってあってもなくてもどうでも良い便利な機能だ。  今のところは近所に買い物に行くぐらいしか活躍していない我が家のニューフェイス。春が来ればドライブにキャンプにと大活躍するはずだが、エンジンをかけると小さく雪のマークが「寒いから凍結に気をつけて」とささやかに主張する季節が終わるまでは慣らし運転として大人しくしているほか無いだろう。

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それぞれの雪景色

20131116 季節は移り変わり、私が住んでいる町にも雪が降り始めた。雪が降ると言っても降り積もる事はない。すぐそこに見える山から湧き立った雲から風に乗って舞い降りた氷の結晶は、地面に届く前に消えて無くなってしまう。少し離れた場所から眺めると、山から風向きによって煙ったように霞む所が雪の降る場所だとわかるくらいだが、いつも白く染まるのは山の上の方だけなのだ。  Twitterのつぶやきで少し前に住んでいた町の気温が4度で寒さに根を上げる様子を伝えてきた。こちらはそれよりも更に数度低いと思うと、方角的には南の島に近いはずなのにこの寒さはどうした事だろうと訝しく思う。北の国でもないのに天気が崩れれば雪が舞う、何だか不思議な所に住んでいるような気がしてくる。  年に数回しか雪が降らないが降れば確実に交通が麻痺する街と、度々雪が舞う事があっても決して降り積もらない町。どちらが良いと言う事はないのだが、あのしんしんと白く降り積もる雪の中で後数メートルの距離を残して車を止め、坂道を見上げてため息をつく情景が何だか懐かしくもある。

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遠い空と近くの空

20131110 東京横浜の空は騒がしい。成田や羽田が近いからではない。一般航空機の飛行空域の下に自衛隊や米軍のために空けてある空域があるので、旅客機は飛行場を飛び立つとしばらく急角度で上へ上へと登っていく。日曜日の静寂を破るのは決まって自衛隊や警察のヘリや輸送機なのだ。  関東を離れて思う事の一つは、空が静かだという事だ。そう遠くない所にいくつもの飛行場があるし、所属がわかるくらいに低い所を民間旅客機が飛んでいく。それでも食器棚のガラスを震わせるような騒音をたてる事は一度もない。はじめて低く飛ぶ旅客機を見た時こそ「緊急事態でも起きてるのか」と驚いた物だが、最近ではそれもまた日常の風景にとけ込んでしまった。  そしてそのまた高い所を飛行機雲と共に飛んでいく旅客機。ここを通り越して更に先へと飛ぶ便か、それとも遠い海外を目指す便か。飛行機雲を眺めていると心が旅の空へと思いを馳せるのは何処にいても同じ事。

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溺れる香り

20131030 遠くも近くもない山並みに雲がかかり、つるべ落としの秋の残照を隠している。通りを歩くと酒屋の駐車場入口にぽつんと大振りなキンモクセイの木がオレンジの絨毯にたたずみ、花に負けじと強い香りに包まれている。  キンモクセイの香りは華やかで、しかし香水の様な刺激が無くて心地よい。花を愛でながらたたずんでいると、あかねに染まる空ごとガラスの容器に密閉して、その中に閉じこもりたくなる。甘い甘い香りに酔いしれて、きっと溺れるままに全てを忘れてしまうのだろう。  通り過ぎる車のライトに照らされて、本来の用事を思い出して気持ちを切り替える。酒屋でテキーラとラム。いずれにしても酔う事には変わりはない。

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