記憶の表象

イラストレーションブログ
記憶の中の何かを形にしていく作業

それぞれの雪景色

20131116 季節は移り変わり、私が住んでいる町にも雪が降り始めた。雪が降ると言っても降り積もる事はない。すぐそこに見える山から湧き立った雲から風に乗って舞い降りた氷の結晶は、地面に届く前に消えて無くなってしまう。少し離れた場所から眺めると、山から風向きによって煙ったように霞む所が雪の降る場所だとわかるくらいだが、いつも白く染まるのは山の上の方だけなのだ。  Twitterのつぶやきで少し前に住んでいた町の気温が4度で寒さに根を上げる様子を伝えてきた。こちらはそれよりも更に数度低いと思うと、方角的には南の島に近いはずなのにこの寒さはどうした事だろうと訝しく思う。北の国でもないのに天気が崩れれば雪が舞う、何だか不思議な所に住んでいるような気がしてくる。  年に数回しか雪が降らないが降れば確実に交通が麻痺する街と、度々雪が舞う事があっても決して降り積もらない町。どちらが良いと言う事はないのだが、あのしんしんと白く降り積もる雪の中で後数メートルの距離を残して車を止め、坂道を見上げてため息をつく情景が何だか懐かしくもある。
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