記憶の表象

イラストレーションブログ
記憶の中の何かを形にしていく作業

溺れる香り

20131030 遠くも近くもない山並みに雲がかかり、つるべ落としの秋の残照を隠している。通りを歩くと酒屋の駐車場入口にぽつんと大振りなキンモクセイの木がオレンジの絨毯にたたずみ、花に負けじと強い香りに包まれている。  キンモクセイの香りは華やかで、しかし香水の様な刺激が無くて心地よい。花を愛でながらたたずんでいると、あかねに染まる空ごとガラスの容器に密閉して、その中に閉じこもりたくなる。甘い甘い香りに酔いしれて、きっと溺れるままに全てを忘れてしまうのだろう。  通り過ぎる車のライトに照らされて、本来の用事を思い出して気持ちを切り替える。酒屋でテキーラとラム。いずれにしても酔う事には変わりはない。
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