記憶の表象

イラストレーションブログ
記憶の中の何かを形にしていく作業

吹き抜ける風

20130914 子供の頃、プラスチックのホースを振り回して音を出す遊びがあったのを覚えているだろうか。そう言う玩具だったのか、洗濯機のホースを振り回していたのか、記憶が定かではないが回す速度によって音の高低が変わるのを面白がった事は良く覚えている。  その音に気がついたのはもう随分前だ。何処からかあの遠心力でホースの中を吹き抜ける風の音が聞こえてきていた。最初は子供の遊びかと思っていたが、聞こえてくる方向に子供の姿はない。そして聞こえてくるのは決まって風のある日。きっとどこかで風が吹き抜ける音なのだろう。  音が聞こえてくる方向に向かって駆け出したい衝動に駆られる。自分が小学生だったのなら迷わず駆け出しただろう。そんな時、決まって何かの作業中で手を離す事が出来ない。大人の事情というヤツだ。それでも、次に風が吹いてあの音が聞こえてきたなら、きっと心の抑えが効かないだろう。台風の予報円をながめながら期待している自分がいる。
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