夏雲

20130627 季節によって空の様子は様々だけれど、一番のお気に入りはやっぱり夏の空。混じり気のない氷のような冬の青、空高く筋雲がたなびく秋の空、ほんのりと煙った春の空、どの空よりも躍動感あふれる夏雲と、その白さが強調する真っ青な夏空が良いのだ。  空を見上げながらそんな事を考えているといつの間にか足が止まっている事に気がつく。立ち止まって惚けている場合ではない。そんな夏の空の良さを伝えるために描き続けなくてはいけないのだ。歩き続けなくてはならないのだ。

夏が来る。

20130607 梅雨入り宣言が出たとたんに毎日真夏のような晴れ空。気象庁が宣言を撤回しようか検討していると噂に聞こえてくる気持ちの良い青空の下をバイクで走る。田園地帯は先週まで苗を寄せ植えしてあった田に、溜池から水が引かれている。早い所ではもう耕耘機を持ち出して田植えが始まっていて、乾いた土に水が染み込む時に発するのであろう湿った臭いがふわりと風に乗って届く。  幼少期を過ごした街に水田があったのは物心つくかつかないかの頃まで。だから田植えを手伝ったり泥んこになったりと言う思い出はほとんど無い。その代わりに湿った土の臭いと晴れた空で思い起こす事が一つある。丁度今頃、梅雨の晴れ間になるとやってくるプール掃除。冬の間隣の小さい池から魚を放流して大きな池のように濁っているプールから水を抜き、魚を元の池にもどして泥を落とし、夏の水泳の授業に備えてプール開きの準備をするのは、毎年我が水泳部の仕事だった。  晴れた空の下、学校の中で公然と水遊びが出来るイベントが大好きだった。夏が来る準備をする様で泥臭さなど忘れてしまうほど心が浮き立ったものだ。今考えると冬の間とはいえ魚をプールに放流する学校はなかなか面白い校風だった。それで誰が得をするわけでもないのだが、水泳部の面々だけは土曜日の昼下がりなどに釣りを楽しんだ。釣れたという記憶は全くないが。  水田に水が満ち、小さな生き物たちが何処からか湧き出でて、待ち望んだ夏が来る。

期間限定デコレート

20130604 一体全体どういういきさつでそうなったかは覚えていないのだが、左の親指の爪に血豆がある。爪の内側にある小さな血豆で、毎日成長する爪と共に爪先へと移動していく。血豆が出来てからどれくらいが経っただろうか。1ヵ月?1ヵ月半? 最初は甘皮の下にあった血豆がゆっくりゆっくり爪を縦断して、今は白く伸びた爪先と共に指からはみ出している。  今日あたり、伸びた爪と一緒に爪切りで切り落としてしまおうと思っている。長い事「早く爪が伸びないか、邪魔な血豆が移動してくれないか」と思ってみていたくせに、いざ切り落とそうかという段になると何だかちょっと惜しいような気もしてくる。女性と違って普段爪に色や絵を置くようなオシャレをしていないから、ちょっとしたワンポイントのドットでもいつの間にか普段と違う自分の一部と思っていたのかもしれない。  しかしこのまま爪を伸ばし続けるわけにもいかない。さっさと切ってしまって、アクリル絵の具の残りでもはみ出させて塗っておく事にしよう。