夏景色

20140824 台風の去ったよく晴れた日に車で山に向かって走り出す。空の青さに山の緑が鮮やかに映え、雲が作り出す影が山肌をゆっくりと横切っていく。  観光地が多数ある街道を山裾に沿って走ると、コンクリートの街並みがどんどんと遠ざかり、なだらかな曲線で前へと伸びる道が並木と古臭い田舎家や行商小屋の間に吸い込まれている景色に、もう何十回と繰り返してきた夏の風景を次々と甦らせる。  夏空で夏雲で夏景色で、夏である。これで向かう先がいつもの耳鼻科検診でなければ完璧な夏休みなのだが、ただの日常なのだ。

虹をくぐって

20140815 今住んでいる街は虹が出ることが多い。虹の街と称するほど多くはないが、雨が降って日が差して来れば見上げると虹を見つけることができる。今まで住んだ街とどう違うのか、先日ぼんやりと虹を見上げていて思い当った。  天気の境目はどこにでもある。川の向こうが雨でもこちら側は晴れていたり、幹線道路に沿って雲ができていたり。この辺りで言えばその境目はほど近いさして高くもない山脈。海からの風と陸の空気がぶつかって雲を作る。その雲がモクモクと成長して雨が降り、山の向こうの晴れた空から日が差すと、必ずと言っていいほど虹が出る。  雨上がりに濡れ光る田んぼの稲と鮮やかな虹を見てると、面倒くさい頼まれ買い出しもちょっとしたスペクタクル、楽しい道行きになるのだ。