2014年9月13日
Category - 楽
ふと気が付くと季節は巡り、どんなに日差しが強くても秋風が心地よく感じるようになった。過ぎ去って気が付くのはいつも夏の間にし残したこと。ジリジリと肌を焼く日差しの下でやっておきたかったことばかりが頭をよぎる。
それでも今年の夏は二つのかき氷が印象に残った。一つはタンバリンギャラリーでロバミュージアム2014の最終日に、ギャラリーボビンのオーナー笹木さんに作っていただいた、奥様お手製のフルーツコンポートのせかき氷。もう一つは山間の古寺のすそ野にあるお茶屋で食べた、素朴な黒蜜だけかけたかき氷。かたや嵐の蒸し暑い風に吹かれて、もう一方は木陰の涼しさに吹かれて。どちらも見た目以上に美味しかった。
夏に定番のカキ氷を堪能して今年は悔いがないかと問われるとそうでもない。白玉と練乳がかかったかき氷が食べたくてあちこち走り回ったのに、結局出会うことができずに終わってしまった。どこかにクーラーのない日本家屋で白玉と練乳のかかったかき氷を夏と一緒に出してくれる店がないものだろうか。
イラストのキャラクターでLINEスタンプを作りました。
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2014年8月24日
Category - 楽
台風の去ったよく晴れた日に車で山に向かって走り出す。空の青さに山の緑が鮮やかに映え、雲が作り出す影が山肌をゆっくりと横切っていく。
観光地が多数ある街道を山裾に沿って走ると、コンクリートの街並みがどんどんと遠ざかり、なだらかな曲線で前へと伸びる道が並木と古臭い田舎家や行商小屋の間に吸い込まれている景色に、もう何十回と繰り返してきた夏の風景を次々と甦らせる。
夏空で夏雲で夏景色で、夏である。これで向かう先がいつもの耳鼻科検診でなければ完璧な夏休みなのだが、ただの日常なのだ。
2014年5月20日
Category - 楽
うちの庭はバラの花が盛りである。いや、正確に言うなら、庭のみならずタイムラインもバラだらけだ。
カミさんが育てているバラ、なかなか美しいのだが中にはバラらしくないバラもある。バラといえば幾重にも重なる花弁が絵になるが、中には一重か二重の花弁が開ききってしまうタイプもあって、私としてはあまり美しいとは思わない。バラはやっぱり気品があって美しく着飾ったイメージが一番なのだ。
そんな一重のバラのどこがいいのかとタイムラインで聞き耳を立てていると、どうやらバラの原種に近い花らしい。そういわれてみれば昔実家の裏の崖に咲いていた野バラはそんな形だった。オリジナルが一重で華々しいのは品種改良、と考えていると、なんだか今まで嫌いだった一重のバラの花がものすごく愛らしく感じられてしまう。
人の価値観なんて、いやいや、私の価値観なんて案外もろいものだった、と言うわけだ。
2014年1月24日
Category - 楽
我が家にやってきた小さな車、まだまだ近所の買い出しくらいにしか使っていないが、それでも着々と走行距離を伸ばしはじめている。走行距離が伸びるに連れてわかってくるのはその車特有の癖。今回の車はオートマチックモードとマニュアルモードが選べるのだが、オートマモードがちょっと癖がある。
元々シフトアップのタイミングでアクセルの反応がちょっと鈍いのだが、それに加えて踏み込みが甘いとシフトアップがやたらと早い。省エネモードで走っているらしく、しっかりと踏み込めば高回転で繋がっていくのだが、シフトアップする度にカックンカックン初心者の運転のような挙動になる。
マニュアルモードで運転すれば気持ち良く走る事が出来るのだが、説明書に省エネルギーのために最適な回転数で云々と書かれてしまっては無下に出来ない。ハイオクの値段も一時期より随分高くなったみたいだし、慣れるまではオートマチックモードで我慢するしかないのだろうな。
2014年1月4日
Category - 楽
もう去年の暮れになるが、我が家に新しい車がやってきた。小さいながらも最新型の輸入車。東京に越した時に前の車は手放してしまったが、地下鉄もバスも網の目のように路線が入り組み数分おきにやってくる都会と違って、現在の住まいでは車は必需品。小さいながらも百人力、と言うよりは我が家のマイカー系譜的には順当な選択といえる。
前回がいわゆるエンスーだったために当然といえるのだが、最新式の装備には目を見張る物がある。細かく位置を調整できる暖房熱線入りシートにセミマニュアル/オートが選べるシフト、バックすると「オーライ」の変わりにピーピー鳴り響く障害物センサーに、リモコンドアロックは解除するたびに「お帰り!」と喋りかけてくるようで楽しい。レバーの先の小さなボタンを押すと計器パネルの表示が様々に入れ替わるのは、はっきり言ってあってもなくてもどうでも良い便利な機能だ。
今のところは近所に買い物に行くぐらいしか活躍していない我が家のニューフェイス。春が来ればドライブにキャンプにと大活躍するはずだが、エンジンをかけると小さく雪のマークが「寒いから凍結に気をつけて」とささやかに主張する季節が終わるまでは慣らし運転として大人しくしているほか無いだろう。
2013年10月28日
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風が強い日に聞こえてくる不思議な音については一応の解決を見た。ところが今度の住処は余程今まで住んで来た場所とは勝手が違うようで、新たな謎が浮上して来た。
部屋のテレビを消して静かに過ごしていると、どこからともなく、いや確実に家の外から、パソコンやテレビの起動音のような「ブオン」といった不思議な音が響いてくる。常に聞こえている訳ではない。かと言って決まった時間に鳴る訳でもない。どこか近所の庭にでも設置してある何かが起動する音なのだろう、とは思う。
ふたを開けてみればたいしたものではないだろうとわかっていても、夜の静寂に低く響く起動音を聞いていると、知らぬ間に地中に埋められた宇宙人の侵略ロボットが立ち上がって歩き出すような、なんだかヘンテコな妄想が膨らみだす。
果たして謎の音は最新給湯器の作動音なのか、三本足の破壊兵器なのか、確かめたい気持ちがむくむくと大きくなりつつあるのだ。
2013年10月20日
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先日思い立ってギャラリーを巡ってきた。スタートは昼だったが、そこからどれだけ巡れるか、青山界隈を友人に案内を頼んで歩き回った。行った事のあるギャラリーも含めて7箇所まわった所ですっかり陽が暮れて、足が棒になった。
インターネットの普及でいろんな作品を部屋にいながらにして見られるようになったのは素晴らしい事だ。しかしギャラリーの定点観測というのも面白い。何より生の作品はCDと生演奏の差に劣らない程の違いがある。そして作家が在廊していれば思わぬ出会いや発見がある。コレと決めずに訪れれば新しい作品にも出会える。良い事ずくめだ。
青山界隈はギャラリーが多い。少し寄り道すれば骨董通りや表参道で美味しい物にも出会える。食欲の秋と芸術の秋を濡れ手に粟の一日になる事は間違い無し。足が棒になってもおつりが来るのだ。
2013年9月27日
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風のある日に聞こえてくるあの音、ビニールホースを振り回しているような枯れた音の正体を突き止める日が来た。
折しも台風が日本列島直撃コースに乗り、吹きつのる風に追跡コンディションは万全とばかり靴を履き替える。予想目標は近所に見える大きな広告塔。夜になると煌々とネオンが灯るその広告塔は、隙間だらけでいかにも風を切る音がうなりを上げていそうな外観だ。
歩いて数分の距離をわくわくしながら近づいてみると、何故かあの音はどこかに消えてしまった。風は変わらず強い。なのに、風を切る音は耳元を過ぎるだけ。おかしいぞとぐるりとまわって住処の近くに戻ってみると、再び聞こえてくる寂れた音。
ゆっくり歩きながらその音を突き止めてみると、実に住処のすぐ裏手にある電信柱の上からだった。目をこらすと電線に保護カバーとして蛇腹のビニールホースがかかっている。その中を通る風の音なのだろう。
幽霊の正体見たり枯れ尾花、ではないが、してやられた感にしばらく立ちつくすのだった。
2013年9月21日
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今年の夏は外出する事が多かった。外出と言っても近場がほとんど、電車に乗ったりバスに乗ったり、人混みの中を闊歩する事は少なかった。
リゾート地で愛用しているのは小笠原諸島で「ギョサン」として通っているサンダル。ある程度重みがあり鼻緒があるタイプなので、水の中で波にさらわれることなく岩場を歩ける。父島ではじめて手に入れたのは随分前の事だが、「コレは便利だ」と話を広めている内にお土産として頂いたり、産地が本土だと判明したり、何下に知る人ぞ知る名品として出回っていたりでいまだに我が家の下駄箱から姿を無くす気配はない。
夏の間近場を出歩く際はもっぱらギョサンを使っていたために、ギョサンの形に日焼け跡がくっきりと残ってしまった。足元だけを見るとサーファーのような出で立ちだと笑い話になる。行楽には全く出歩かなかったが、その日焼けの形がいろんな思い出を蘇らせてくれる。
2013年9月14日
Category - 楽
子供の頃、プラスチックのホースを振り回して音を出す遊びがあったのを覚えているだろうか。そう言う玩具だったのか、洗濯機のホースを振り回していたのか、記憶が定かではないが回す速度によって音の高低が変わるのを面白がった事は良く覚えている。
その音に気がついたのはもう随分前だ。何処からかあの遠心力でホースの中を吹き抜ける風の音が聞こえてきていた。最初は子供の遊びかと思っていたが、聞こえてくる方向に子供の姿はない。そして聞こえてくるのは決まって風のある日。きっとどこかで風が吹き抜ける音なのだろう。
音が聞こえてくる方向に向かって駆け出したい衝動に駆られる。自分が小学生だったのなら迷わず駆け出しただろう。そんな時、決まって何かの作業中で手を離す事が出来ない。大人の事情というヤツだ。それでも、次に風が吹いてあの音が聞こえてきたなら、きっと心の抑えが効かないだろう。台風の予報円をながめながら期待している自分がいる。
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